設立の経緯

 有明海・八代海は、環境悪化の問題とともに台風の常襲地帯のため高潮・高波の海象災害にも悩まされており、さらに2016年4月発生の「熊本地震」や2017年7月の「九州北部豪雨」等の頻発する自然災害への対応など、“環境と災害”の問題への対応に迫られている現状にあります。
 このような、有明・八代海が抱える重要課題に対して、関係する国の機関や関係各県等県等の行政のみならず、関係するすべての人々が参集し、議論し対策を検討・実施していく「体制(システム)とその場」が不可欠でありますが、現状では有明海・八代海の海域全体にかかわる「体制・場づくり」の設置は非常に困難と判断せざるを得ない状況にあります。
 このような状況のもと、まずは八代海を対象に、2015年に「第8回全国アマモサミット2015inくまもと・やつしろ」を開催し、白熱の議論を展開しました。その成果を「熊本宣言文」としてまとめ、“皆で再生に取り組む”という大きな一歩を踏み出しました。このサミットは、有明・八代海の再生に向けて、まずは熊本県から「再生の体制・場づくり」を始め、再生連携体制の“範例”となることを“意図”したものでありました。
 このサミットの後、多様な関係者から構成される「準備会」を立ち上げ「の熊本県沿岸域再生官民連携フォーラム」の設立の準備を進めてきたところであります。
 また、2017年7月には、“日本沿岸域学会全国大会(熊本)2017”を開催、「シンポジウム:熊本地震と有明・八代の海~有明海・八代海の将来に向けてどう取り組むかで?~」について検討を行い、「提言:熊本の海の再生に向けた行動を」とりまとめ、早急にアクションを起こすことを参加者一同で確認、宣言したものです

全国アマモサミットの開催

 平成27年10月2日~4日に、産官学民の連携・協働の高度化を目指し、第8回全国アマモサミットを八代ハーモニーホールで開催致しました。アマモサミットとは「アマモ」「アマモ場」を象徴的なキーワードとして、全国各地の海とその沿岸地域が抱える課題をテーマに、海の自然再生・保全を目指して様々な立場や分野の人々の活動紹介と意見交換を行う場となっています。

 「第8回全国アマモサミットinくまもと・やつしろ」では、八代海・有明海が抱える”海の自然環境の保全と再生”、”環境と防災の調和”をテーマに掲げ、”どうすれば、豊かな八代海・有明海を再生することができ、守り続けていけるか?”を、多くのご来場様を始め、漁業者、市民、企業者、関係機関等の皆様から数多くの貴重なご意見・ご提案を頂きました。そのご意見・ご提案をアマモサミットシンポジウム会場にて、ご来場様の総意のもと「熊本宣言」として成果を取り纏めました。なお、アマモサミットの閉会式では、次期開催地(平成28年開催)の岡山県日生町にサミットのシンボルである大漁旗を引継ぎ、全国各地の抱えるテーマに沿って多くの議論がなされ、再生を目指す”キッカケ”となっています。

この「熊本宣言」を基本項目として、有明海・八代海の再生へ向けて活動を進めております。

全国アマモサミット2015inくまもと・やつしろ
「八代海・有明海の再生をめざして」
~美しい自然環境に囲まれ、災害につよく、元気でいきいきとした沿岸地域づくり~
「熊本宣言」

 かつて豊穣の海として、かけがえのない多くの恵みをもたらしてくれた八代海・有明海は、陸域からの人為的な影響を強く受け、いまや著しい環境劣化の悪循環(負のスパイラル)に陥っていると懸念される。
 それは、底質の悪化や生物生息の多様な場の喪失等に起因する貧酸素水塊や有毒赤潮・珪藻赤潮の発生、漁獲量の減少や漁業者の高齢化による漁業の疲弊といった、八代海、有明海を取り巻く現状の厳しさが顕在化してきている。
 生物生息場をつくり生物多様性を保全する(例えば、アマモ場再生やなぎさ線の回復等)ことを核として、環境、人と海の関係の修復を行っていくことが必要である。
 八代海・有明海に関係する全ての人達が関係するテーマである”海の自然環境の保全と再生”、”環境と防災の調和”、”沿岸地域活性化”を含む「八代海・有明海を豊かな海に再生するための」持続可能な取組に向けて、以下のことを宣言する。

(組織)
「八代海・有明海を豊かな海に再生するため」に、やるべきことをやりたい人が実行できるよう、様々な立場の関係者が情報を共有し、意見を交換する場の設置に向けて取り組むこと
山から海までを対象として、豊かな八代海、有明海の再生に向けて、漁業者、市民、企業、教育、行政等、関係者間の連携体制の強化を図ること

(方針)
森川里海をつなぎ、大きな目標を掲げ、モニタリングや評価検証しながら効果的な実施(順応的な実施)を行うため、目指すべき姿の検討に取組むとともに、環境保全と防災の両立など新たな考え方についての十分な啓発・情報共有を行うこと

(展開)
それぞれの立場に応じて、当事者として各関係者とともに、八代海・有明海の恵みを享受する誰もが主体的に八代海、有明海の再生に取り組む活動を展開すること

                                           2015年10月4日
                                        全国アマモサミット2015inくまもと・やつしろ
                                        シンポジウム参加者一同

日本沿岸域学会全国大会(熊本)

日本沿岸域学会全国大会(熊本)2017
シンポジウム「熊本地震と有明・八代の海」
~有明海・八代海の将来に向けてどう取り組むか?~
「提言」:熊本の海の再生に向けた行動を

 熊本県では、多様な関係者の協働により、有明海・八代海等の再生に向けた熊本県計画、アマモサミットでの熊本宣言(2015年採択)などに基づき、有明海・八代海等を豊かな海に再生するために「海の自然環境の保全と再生」「環境と防災の調和」「沿岸地域活性化」の実現に向けて、連携体制の強化、情報共有と啓発、活動の展開、人材の活用、若者の参画、調査研究・モニタリングの充実、海岸整備、ルール作りなどに取り組んでいる。
 2016年4月14日及び16日に発災した熊本地震並びにその後発生した記録的な豪雨により、熊本県はじめ、有明海・八代海等は大きな被害をこうむり、その影響は県民の生活、河川、港湾、海岸におよび、流木・土砂堆積の被害も生じた。地震の影響は「水の国」である熊本の地下水循環へも出ていることが懸念され、モニタリングにより下水漏出が示唆されている。現在、被災された方々の痛みを最小化し、創造的な復興を目指し、熊本のさらなる発展につなげることを3原則とした「熊本地震からの復旧・復興プラン」が実施されている。
 日本沿岸域学会は、こうした背景に鑑み、日本沿岸域学会全国大会(熊本)2017 において、シンポジウム「熊本地震と有明・八代の海」を開催し、有明海・八代海の将来に向けてどう取り組むかについて検討を行い、以下のような基本方針のもと、早急に次のアクションを起こしていくことを提言する。


・ 研究者だけでなく、行政、市民、企業、漁業者、教育、レジャーなど幅広い関係者が、それぞれの論理を尊重しつつ実行可能な共通の方向性に向けた取組みへの展開を模索し、共に取り組むべきであり、


・ 取り組むべき分野として、県民総幸福量を最大化する復旧・復興、地下水の循環を意識した環境モニタリング、災害への対応体制の整備、自然再生の効果の定量化、住民等多様な主体の参画による推進体制の確立等があり、


・ 研究活動や行政事業、NPO活動を通して、状況の把握、具体的対策を明記した行動計画の策定、実践的な事業の推進および、こうした活動への自主的な参画等を学会員自らのコミットメントとして実施していくとともに、その活動を推進するために、首長らの積極的なリーダシップの発揮を期待し、行政の関与や事務局組織の充実などに広く支援や協力を求める


                                     2017年7月23日
                                     日本沿岸域学会全国大会(熊本)2017
                                  シンポジウム「熊本地震と有明・八代の海」参加者一同